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北海道編 本編

20211009_0

!SYSTEM
秋山 華が入室しました
!SYSTEM
甫嶺 史織が入室しました
甫嶺 史織
BGMでも探そうかと思ったけど
どんな雰囲気にすべきかわからなかった
秋山 華
わからない
!SYSTEM
BGMを変更 by 甫嶺 史織
♪夢の向こう/秋山裕和100%
甫嶺 史織
平和すぎるか……
!SYSTEM
BGMを変更 by 甫嶺 史織
♪静かな時間/ゆうり100%
!SYSTEM
BGMを変更 by 甫嶺 史織
無題100%
秋山 華

 
前回までのあらすじ
ついに両親にオーヴァードの存在を打ち明けることにした秋山華。
父に伝えると話がめんどくさくややこしくなるため、休暇を取り北海道の実家に帰省しまずは母と話をすることに。
しかしそのことを甫嶺に伝えると、口下手どころかコミュ力が壊滅的過ぎて絶対悪いことにしかならないから自分を連れて行けと言われてしまう。
説得され不承不承に承諾する秋山だが、翌日合流した甫嶺の手には付箋だらけの旅行雑誌が。
わざわざ偽造免許証まで用意してきたいやしいワラビーを連れ、季節外れの北海道旅行へ旅立つ──!
 

甫嶺 史織
ワラビッ
北海道T市

初めての()飛行機に乗り約1時間半。
北の大地に到着した二人は空港グルメを堪能すると大都市と逆方向。海岸沿いへと車を走らせる。
大きなスケートセンターからも程近い住宅街の一角に、かつて両親と姉弟が暮らした家があった。
 
秋山 華
導入おわり
秋山 華
「ここ」
2年半ぶりの実家を助手席から感慨も無さそうな顔で眺め。
甫嶺 史織
でっかい一軒家?
秋山 華
せやなあ
甫嶺 史織
「おー……」北国仕様の大きな一軒家を前に、目を瞬いて。
「え、4人家族だよな? でかくねえ?」
秋山 華
「この辺は大体こんなもんじゃない」
甫嶺 史織
「へー」まあそんなものか。
「……じゃ、行くか!」
秋山 華
「ん」「ガレージあけてもらうから待ってな」
甫嶺 史織
「はいよ」
秋山 華
車を出て。家に入って行き。──程なくして車庫が開く。
甫嶺 史織
「どうも」危なげな様子も無く車庫入れを完了。
そうしてエンジンを切って、扉を開けて車を降りる。しかし車庫つきとかいよいよ豪華だな。
秋山 華
再度家を出てきて。甫嶺の方を眺める。なんとなく先ほどより険しいような機嫌の悪いような居心地の悪いような顔をしているようなしていないような。
甫嶺 史織
「はいおまたせ」表情の変化には気が付くけれど指摘はしない。絶対めんどくさいことになるし。
秋山 華
「……」「30分もすりゃ終わるから、どっか出かけててもいいよ」
甫嶺 史織
「往生際悪すぎねえ?」
秋山 華
「……一応聞いただけ」
甫嶺 史織
「はいはい。それじゃ行きますか」
秋山 華
はー、と溜息を吐いて玄関を開ける。
甫嶺 史織
お邪魔します、と声をかけて扉から家の中へ。
秋山 絵里
「いらっしゃい」
二人が入ってくると玄関で待っていたのか甫嶺に向けて愛想よく微笑み。
甫嶺 史織
エリも赤い女か…
秋山 絵里
声はどことなく秋山華に似ている。が、身長は少し高いが常識的な範囲で、ごく一般的な日本人だ。
秋山 華
く、くろかみだよ
甫嶺 史織
名前が赤い女
甫嶺 史織
「はい、急にすみません」ぺこり、と頭を下げつつ、ええーこの人から秋山が生まれたのマジ? なんて軽口を叩きたくなるのを我慢。
秋山 華
「……」余計なことを考えているんだろうな、と目線を下向けて睨み。
甫嶺 史織
咎めるような鋭い視線はさらりと無視して靴を脱ぐ。
秋山 絵里
「まさか華がお友達を連れて帰ってくるなんてね。しかも男の子の。……お父さんが知ったら驚くでしょうね」
秋山 華
何と反応するべきか悩むように黙って靴を脱ぎ。
「甫嶺」とだけ母に紹介して。
甫嶺 史織
「あ、いやただの友達ですほんと。全然お父さんが驚かれるようなアレじゃないんで」冗談めかしてそんなことを言いつつ。
「甫嶺 史織です、初めまして」
秋山 絵里
「はじめまして、秋山絵里よ。娘を送ってきてくれてどうもありがとう」娘の友人にするには独特な挨拶を返して
「どうぞ、あがって。お茶を淹れるわね。華、案内してあげて」
甫嶺 史織
「はい、ありがとうございます」もう一度軽く頭を下げ。
秋山 華
もう一回甫嶺を眺める。往生際が悪い。
諦めたように口を開き「こっち」
甫嶺 史織
「うん」全く往生際の悪い。
秋山 華
見た目通り都内では邸宅と呼べる広さの家をずんずん歩いてゆき、また無暗に広いリビングに通して。
甫嶺 史織
大人しくついて歩く。歩きながら、こんな広い家に一人きりで暮らすのは随分と寂しそうだな、とふと思う。
秋山 華
腹を決めて帰って来たものの。いざ2年半ぶりの実家に足を踏み入れると心は波立たずにはいられず。
「適当にしてて」
普段以上にぶっきらぼうに言って自分もソファに腰かけ。
秋山 華
まぁざっくり室内を描写すると
甫嶺 史織
「ん」大人しくその隣に腰掛ける。
秋山 華
なんかすごいひろい
あとはなんか
写真とかきれいにかざってある
甫嶺 史織
片付いてる?
秋山 華
とてもきれい
絵里、几帳面
甫嶺 史織
写真飾ってあるのアメリカ~
秋山 華
後は何だ…・…
トロフィーとかおいてあるよたぶん 華の
甫嶺 史織
なるほどね
ぴかぴかの?
秋山 華
絵里、几帳面
甫嶺 史織
几帳面~
秋山 華
あとはまあ
天がなにかしてなければってくらいですかね
甫嶺 史織
天はお家壊したりはしてない大丈夫
秋山 華
えらい
じゃあ時が止まった家に
絵里は一人で住んでいる
甫嶺 史織
ソファに座ったまま、室内を見渡す。こんなに広い家を一人きりでこんなにきれいに保つのはきっと大変だろうな、と考えながら。
飾られた家族写真やトロフィーにも、気が疲れない程度に目を留めて。
(気がつかれない)
秋山 華
気を遣わせてごめんな って思っちゃた
甫嶺 史織
wwww
気は使ってる事実
秋山 華
「……アレが弟」見ていたことに気付いたわけではないが、写真を指差し
甫嶺 史織
何歳くらいの天?
秋山 華
んー
華が14までのがほとんどだろうと思うけど(そのあたりで離婚したので)
11~12?でも
甫嶺 史織
おkpy
秋山 華
母と二人暮らしになったあとも仲良く二人で写真とか
撮ってたならそれ以上のもあるんでない?
甫嶺 史織
とらない…いやどうかな……
秋山 華
中学入学式はあるかもね
甫嶺 史織
【✔:撮った】 [×:撮ってない]
撮ったそうです
秋山 華
天かわいいやつだなwww
甫嶺 史織
中学の入学式でお母さんと二人のお写真
甫嶺 史織
「ん、……え、あれ?」
秋山 華
カナシイワネ
秋山 華
「なに」
甫嶺 史織
「いや……うん顔は似てる顔は。あと髪の毛の色とかも似てる似てる」
秋山 華
「別に似てない」
甫嶺 史織
「まあ似てはいないけど姉弟だなあ、って感じだな」
秋山 華
「中学の入学式っぽいけど。あの写真からあんまり変わってないよ」アレで成長止まったのかなあいつ
甫嶺 史織
「幾つ違いだっけ?」
秋山 華
「3」
甫嶺 史織
「ふーん」仲良かった? ……なんてのは流石に聞かない。答えは解っているし。
秋山 華
また無口に戻る。情報共有しただけだったようだ。
甫嶺 史織
「……、……」こちらも無言。
秋山 絵里
少しして。香りの良い紅茶とコーヒーを別々に用意して二人のいるリビングに戻り。
「お待たせ。甫嶺くんはどちらにする?」紅茶とコーヒー
甫嶺 史織
「あ、どっちでも大丈夫です。余ったほうで」
秋山 絵里
「そう? じゃあコーヒーでいいかしら。実は私はあまり飲まなくて」苦笑交じりにコーヒーカップを前に置き
甫嶺 史織
「はい。いただきます」
秋山 絵里
華の前にもコーヒーを置き。
秋山 華
一瞥して手は付けず。
甫嶺 史織
自分が飲まないコーヒーを、それでも用意して待っている母親の姿は、少々辛いものがある。
それに一瞥をくれるだけの隣の相方にも思うところはある。……これはスムーズにはいかないかもしれない。
ブラックコーヒーを飲みながら、ふう、と小さく息を漏らして。
秋山 絵里
「……とりあえず、元気そうで安心したわ」
相変わらず頑なな娘に、ほんの僅かに表情に緊張の色を滲ませ。しかしすぐに打ち消して甫嶺に微笑みかけ。
「ご迷惑かけてない?」
甫嶺 史織
「いや全然……っていうと嘘っすね、こういうヤツですし」少々重すぎる空気を和らげるように、けらけらと笑って。
秋山 絵里
「そうでしょう? ごめんなさい。昔はもう少し可愛げがあったんだけど」
甫嶺 史織
「ははは。あーいやでも、十分今も子供っぽくて可愛い方だと思いますよ」
秋山 華
横目にじろっと甫嶺を見て嫌そうな顔をする。
甫嶺 史織
「ほら、こういうすぐ顔にでるところとか」
秋山 華
ふくらはぎあたりをどかっと蹴る。
甫嶺 史織
「痛ッ! おっま、何すんだよ空気和ませようとしてんだよこっちは!」
秋山 絵里
「華! ……もう。本当にごめんなさい?」
甫嶺 史織
「あーいや全然。こんぐらいの暴力慣れっこなんで」
秋山 絵里
「慣れるほど? すぐ手が出るんだから……もう」呆れたように首を振り
秋山 華
やりにくそうに溜息を吐き。
「……じゃ。和んだところでそろそろ本題いい?」
甫嶺 史織
「ん」頷いてソファに座り直す。
秋山 絵里
本題、と聞くと華の方へ顔を向け。
「……何か、話すことがあるんだったわね」まぁ、用事が無ければわざわざ帰ってくるはずもないだろうとはわかっていた様子
秋山 華
「うん」と、頷いてちらりと甫嶺を見て。
「どーすんの。私が喋っていいの」
甫嶺 史織
「……どうしたい?」青い目をじっと見つめ返して。
秋山 華
「したいようにしていいわけ」
甫嶺 史織
「うん。これはお前の話だから。話したいこと、話したくないことはあるだろうし?」
「ま、フォローはするから任せとけって」
とんとん、と自分の胸を叩く。
秋山 華
「……」胸を叩いて見せる甫嶺に肩を竦め
母に向き直り。
「長くなるから。一旦全部聞いて」
秋山 絵里
「…………」
甫嶺 史織
「あ、そう秋山」
秋山 華
「なに」
甫嶺 史織
「話したいこと、話したくないことはあるだろうけど──話すべきことはあるから、そこは丁寧にな?」
「お前はまーーーーーーーじで言葉足んねえから」
秋山 華
「…………丁寧に、ね」がしがしと頭を掻いて
甫嶺 史織
「わかってんならヨシ」
秋山 華
「……3年前あったことから話す」「怪我で長期入院したの、覚えてるでしょ」
秋山 絵里
「え……? あ、ああ……あの時の……?」記憶が曖昧そうに首を傾げ
秋山 華
じゃあ少し描写を淹れますので
お待ちください
甫嶺 史織
あい
 
母の記憶が曖昧そうなのは、恐らくUGNが施した記憶操作のせいだろう。
彼女の中では3年前、娘は試合中の怪我で入院していたことになっている──無論、事実とは異なる。

3年前、私は突然街中に出現した異形の化け物と戦い、死にかけながらも撃退に成功した。そこの記憶は今でもやや曖昧だ。
その後すぐ、UGNという組織に保護されたことは覚えている。そこで、自分がオーヴァードという異能の力を持つ者に覚醒したことを告げられた。
……しかし、私はそのオーヴァードの中でも更に特異体質で、規格外の怪力と引き換えに能力の制御不全を抱えおり、すぐに家に帰ることは困難だった。
そのため私はUGNに頼み、訓練を終えて帰宅可能になるまでの間の家族に記憶を書き換え、怪我で入院していることにしてもらった。
代わりに、彼らの仕事に手を貸すことにした。次々現れる異形の化け物やそれを利用したテロリストと戦う仕事だ。

困惑する母をよそに、淡々と事実だけを述べてゆく。
 
秋山 華
「ホッケーをやめたのはそのため。力が強すぎて、本気でぶつかることができなくなったから」
秋山 絵里
「…………」
突然深刻そうに口を開いた娘から出てきた話はまるで漫画やアニメの世界の話で、困惑することしかできず。
甫嶺 史織
「ま、急にそんな異能力とか、秘密組織の話とかされても困ると思うんすけど」
秋山 絵里
「……」呆然としたような顔で甫嶺に目を向けて
秋山 華
「現実に目にすればわかる」
甫嶺 史織
「まあ、例えば俺もその一人で」いいながら、手に持っていた空のマグカップを上に向かって放り投げ。
「こういうこととかもできる」落下していくカップを空中で止める。
秋山 絵里
「え……、……っ!」目の前で起きた現実離れした現象に目を見開き
甫嶺 史織
「嘘とか冗談……だと思われてるとは思ってないです、でも」
「信じがたいことなのは、わかります」
空中に縫い留めていたカップをそのままゆっくりと机の上に下ろしては、困ったように笑って。
秋山 絵里
「ちょ、ちょっと、ちょっと待って」
手も触れないまま静かに机に降り立ったマグカップを見つめ、口元を覆い。どう受け入れていいのか途方に暮れたように黙り込んで。
甫嶺 史織
「はい。待ちます」
秋山 華
「…………」密かに息を吐き。
秋山 絵里
「…………全部、本当なの?」
甫嶺 史織
「多分、貴方の娘さんは──」この言い方なんかおっさん臭くて嫌だな。なんて思いながら、迷子の子供にも少しにた絵里の顔を真正面から見て。
「そういう冗談とか嘘、あんまりつかないタイプだと思います」
秋山 華
おっさん臭いなと思いながら膝に頬杖を突き。
秋山 絵里
「それは…………そう、ね……」それでも現実として受け入れがたく。嘘であってほしかったような顔をして
甫嶺 史織
「つーかアホみたいに嘘下手じゃないすか。もっと人が驚かないように傷つかないように当たり障りのない説明すればいいのに」
秋山 華
「この説明に当たり障りのない仕方とかある?」
アホは余計だわ
甫嶺 史織
「そういうのできないから、多分これまで黙ってたんじゃないかなって思うんで、説明が今更になったのとかは許してやってほしいな、とは」
「いくらでもあるっての。まあいいお前にそれは期待してねーし」
秋山 華
舌打ち。ねーし。
秋山 絵里
「……責めるつもりは、無いわ。きっと私も信じられなかった、でしょうし」
甫嶺 史織
「そりゃそうですよ。こんなの信じられなくて当然、っていうか」苦笑気味に笑って。
「関係ない人がそういう風にいられるように、日々色々と努力してるのが俺達ですから」
秋山 絵里
「……ごめんなさいね甫嶺くん。気を遣わせて」こめかみを押さえながら頭を整理するように茶を啜り
甫嶺 史織
「いや、別にこのくらいはなんとも。……今この瞬間に、化け物って言われて石投げつけられてないだけ、マシです」
秋山 華
「…………」
甫嶺 史織
「そうされても仕方ないくらい、俺達は人間とはかけ離れた」
「それでも、中身はそのままです。俺も、こいつも」
秋山 絵里
「…………」
「そんなこと……」
しない、とはいえない。それが人間というものであり、自分が人間であることをよく知っているから。
「しないわ」
だけど、言う。この若者たち……いや、子供たちに言ってやれることが、それしかない。
甫嶺 史織
「そう言ってもらえると嬉しいです。別にそんなの気にしない、って流石にいえないんで」苦笑。
秋山 絵里
「この子は……本当に乱暴で、頑固で、不器用で、口が悪くて、乱暴な子だけど……」
秋山 華
乱暴って二回言われた。
甫嶺 史織
実の母親に此処まで言わせるのすげえな。感心。
秋山 絵里
「……この子なりに、私たち家族を傷付けないように……遠ざけようとしてくれたんでしょうね」
ようやく腑に落ちたように顔を上げて娘を見つめる。
甫嶺 史織
「……やっぱりこう、」秋山の母親だなあこの人。年季が違う。なんていうと怒られる気がしたので言葉は飲み込んだ。
秋山 絵里
「……それは、その仕事は。したくてやっているの?」
秋山 華
「……」頷く
秋山 絵里
「……甫嶺くんは?」
甫嶺 史織
「んーどうかな。他の道があったら、そっち選んでたかもしれないです俺は」頭を掻きながら、困ったように笑う。
「……でも、まあ。誰かがやらないといけない仕事だとは思うんで」
「貴方には怯える権利があるんだと俺は思ってます。だって、いきなり爆弾を真横に置かれて怯えないとか普通に無理だし」
「爆弾が存在することを隠してきたのが、これまでの俺達だし」
「だから……、その爆弾がちゃんと安全装置付きで危ないものじゃないってわかってもらえるように努力するのは義務、だと思うんすよね」少し冗談めかした調子で、そんなことを呟き。
秋山 絵里
「……それがUGNという組織の考え方?」
甫嶺 史織
「どうかな。UGNも結局、一枚岩じゃないんで」
「色んな考え方があるし、これから新しい考え方も生まれてくると思います」
秋山 絵里
「だからといって、あなた達のような子供がテロリストと戦わなきゃいけないのは間違ってる」
「……なんてことも、よく言われるのかしら」
甫嶺 史織
「──……、あはは」少しだけ目を見開いてから、ゆっくりと笑いだし。
「いや、案外言われないので、なんだろうな……うん、ありがとうございます」
秋山 絵里
「笑い事じゃないのよ?」
「……正直、14歳の時にこれを打ち明けられていたら私は受け入れられなかったでしょう、けど……止めていたわ」
「誰かがやらなきゃいけないことは、あなた達がやらなきゃいけないわけじゃないんだから」
甫嶺 史織
「──……」目を細める。無責任な言葉は温かくて、酷く懐かしい遠い日の思い出に似ている。
秋山 華
「誰かがやるなら私がやってもいいでしょ」
甫嶺 史織
「そーういうハナシじゃないんだっての」
秋山 絵里
「……最初に確認したでしょ。やりたくてやってることを止めたって、どうせ聞かないくせに」
秋山 華
「まぁ」それはそう
甫嶺 史織
「俺は……正直に言うなら、実際コイツにやらせるべきことだとは思ってないです」
秋山 華
「あ?」
甫嶺 史織
「そんなの、本当ならいなくなっても誰も困んないやつがやればいい」
「わざわざ帰る場所のある人間のやることじゃない」
秋山 華
「……合理的にいえばね」
秋山 絵里
「…………」
秋山 華
「でも帰る場所は行きたい場所じゃない」
甫嶺 史織
「お前なあ……」
秋山 華
「いやこっちの台詞なんだけど。この期に及んで」
甫嶺 史織
「うるせーなー、俺はお前と違って優しいの」
「……まあ、でも結局、そういう帰る場所のない人間で頑張ろうっていうのにも限界があるのは確かで」
「だからこいつのこと叩き返してやるわけにもいかないし……申し訳ないとは思ってます」
「でも、いつかちゃんと帰る場所が行きたい場所と一緒になるように、努力は……していきたいかなとは……」後半自信を失いつつ。
秋山 絵里
「……あなたが謝ることじゃないわ。さっきも言った通り聞かない子だし。あの通りだし」半分呆れているように溜息を吐き
「……それにもう18歳になるし、ね」
「ここに帰ってきてほしいと思っていない訳じゃない。けど、新しい帰る場所を自分で作れるようになる歳でもあるわよね」
甫嶺 史織
「……………」逆に物分かりが良すぎるのではと少し思うも、けれどよくよく考えればこの人は秋山の母親なのだと思い至る。レネゲイド云々関係なくこいつはこうだろう。
「……お前さあ、あんまりお母さんに心配と迷惑ばっかかけんのやめろよ?」
秋山 華
「は?」なんでお前にそんなこと言われなきゃならんのだ
甫嶺 史織
「は? じゃねえよアホ」
秋山 華
「うるさいよ雑魚」
甫嶺 史織
「あーあ傷ついたわ今の。お前のフォローなんかもう一生しねえからな」
「溜めてる始末書も全部自分で書け」
秋山 華
「別に頼んでないし。……溜めてないし?」それは目を逸らす
秋山 絵里
「あのあなた始末書書くようなことしてるの???」それはだめじゃない???
秋山 華
「してない」
甫嶺 史織
「一人だけ普通の5倍くらいの量書いてますね」
いや、あれ5倍じゃすまないか?
秋山 絵里
「……やっぱり許可しないほうがいいかしら?」額に手をやり
秋山 華
よけいなこというなキック
甫嶺 史織
「痛ッ」
「……あー、あと」ちらり、と隣へ視線を送る。
弟のことを話すかどうか、を問いかけるように首を傾げ。
秋山 華
「うん」「それで天のことなんだけど」
甫嶺 史織
「ストップストップ慎重に丁寧に」
秋山 絵里
「え……?」
甫嶺 史織
「そんな単刀直入猪突猛進にいうことあるかよ俺びっくりしちゃったけど!?」
秋山 華
「だって慎重にしようにも詳細がわかんないじゃん」何か文句あるのかという顔
甫嶺 史織
「いやそれでももっとこうさああるじゃん!? こう……心の準備的な!?」
秋山 絵里
「……心の準備が必要なことが天に起きてるの、ね?」やや青ざめる
秋山 華
「……もう言ったも同然じゃない?」
甫嶺 史織
手で顔を覆う。
秋山 華
「……まず先に。天は母さんの理屈じゃ、まだここに帰ってくるべき歳だってことは理解した」
「だからまぁ、そうする。ここに帰らせるように」
秋山 絵里
「……話して」頷いて
秋山 華
「天はテロリスト側に加担してる。私と同じように覚醒して、迎えに来たのがあっちだったんだと思う」
秋山 絵里
想像を上回る事態の悪さにまた顔を覆って。
甫嶺 史織
「………………」いたたまれない顔。
秋山 華
「その時の状況がわからないから、どうしてあっち側についたのかとかその辺は何とも言えなくて悪いんだけど」
「意志は固そう」私を殺したがってたし。とは言わないほうが良さそうだから言わないが。
甫嶺 史織
「でも、きっとちゃんと帰らせます」
秋山 絵里
「天は……どこにいるの?」
甫嶺 史織
「……わからないです。テロ組織側も一枚岩じゃなくて、拠点も幾つも持ってるんで」
秋山 絵里
「…………」「……戦うの? あの子とも」
精一杯それだけ絞り出し。震える手を隠すように覆って。
甫嶺 史織
「──、……」震える手を痛まし気に一瞬だけ見つめてから、目を閉じ、また開き。
「そうならないように、俺が見張ってます」
秋山 華
「…………」口を開きかけて、止め
甫嶺 史織
「……いやまあ、止めるためには多少手荒なことはしないと、いけないかもしれないけど」
秋山 絵里
思わず華を見る。
それから甫嶺に視線を戻し。
甫嶺 史織
「それでも、やっぱり……家族同士で殺し合いしながらじゃ、理想なんて口にできないし」
秋山 華
長く息を吐き。
「……生きて帰らせる。約束する。無茶でも無理でも押し通すよ」
「そうしなきゃ。あの時助けた意味がないし、あの時私が帰らなかった意味がない」
それで伝わるだろう。伝わらないなら他に言葉が無い
秋山 絵里
「…………もし。できるなら」
甫嶺 史織
「?」
秋山 絵里
「……UGNという組織の資料を貰うか、せめて口頭でももう少し詳細な説明が受けたいのだけど……駄目かしら」
「あなたたちが所属している組織がどういうもので、なにと戦っているのかを、私はもっと知る権利があると思う」
「二人の親としても、生活を守られる側の者としても」
甫嶺 史織
「……当たり障りのない内容だけのものなら」言いながら、簡易な資料を鞄から取り出す。
「もっとちゃんと気になることを聞きたい、ってことなら勿論俺が話してもいいですし、あとは俺達の所属してるところに問い合わせてもらっても」
「ただ、……おすすめはしないです。多分不安が増すばっかりなんで」
秋山 絵里
「……ありがとう。それでも、悪い情報でも、知るべきなのよ」
資料を受け取り。
「じゃないと覚悟できないじゃない」
甫嶺 史織
「……、……」こういう時は女性のが強いってやつだろうか。
秋山 絵里
「これでも秋山華の母親なのよ? 色々と、間違えたり後悔したりしてきたことはあるけれど、ね」
甫嶺 史織
「……あはは」
まあ、自分が心配しすぎだったのだろう。それならそれでいい。
秋山 華
自分はあまり母親に似ていないとは思っていたが。思っていたより近しいものはあったのかもしれない。
冷めたコーヒーを飲む。
甫嶺 史織
「説明しなきゃいけないのはこんなもんか。このあとどうする? 親子で話したいことがあるなら俺外すけど」
秋山 華
「別にないと思う」
甫嶺 史織
「ほんとそういうとこなお前」
秋山 絵里
「そういうとこよね」
甫嶺 史織
「ですよねー」
秋山 絵里
「甫嶺くん、既に苦労させてしまっているだろうけど、この先も苦労すると思うわよ……」
甫嶺 史織
「あー、まあ……慣れてるので……」
秋山 華
「なんなの」わかりあうな
甫嶺 史織
「つーわけで俺は先に車戻ってるから。ゆっくりしてこい」
秋山 華
「ん」
甫嶺 史織
「それじゃあ、お邪魔しました。コーヒーもありがとうございました、手土産とか何もなくてすみません」
立ち上がって頭を下げて、玄関へ向かう。
秋山 絵里
「いいえ、こちらこそ」
「大変な仕事をさせて、本当にごめんなさい。ありがとう」
甫嶺 史織
「こっちこそ、心配かけてすみません」最後にそう笑って、玄関から外へ。
甫嶺 史織
ぎがば
秋山 華
ぎがばなつかし……
 
甫嶺 史織
ははは
それから20分もしないうちにまた玄関が開き。
 
秋山 華
「……いいよ見送りは。あいつどうせ観光が主目的でついてきただけだし」
秋山 絵里
「そういうわけにもいかないってことくらい覚えて? 大人として扱うからには」
秋山 華
などと話しながらガレージに戻ってきて。
甫嶺 史織
「早ッ」
秋山 華
「何か文句が」
甫嶺 史織
「えーいやだってお前さあ……こういう機会でもないと顔出さねーんだからさあー……」
「もっとこう……あるじゃん?? 家族団欒しとけよ」
だってこんな広い家で、いつ失われるかわからない子供たちを待つ母親の気持ちなんて、想像しただけで辛い。
秋山 華
「いいんだよ長いするとなんか細かい話始まるだけ」
甫嶺 史織
「そういうのが大事なんだっつーの」
秋山 絵里
肩を竦めて首を振り。その子、そういうものだから……
秋山 華
ちゃっちゃと助手席に乗りこみ
甫嶺 史織
「用事なら電話でいいんだよ。……顔合わせて、なんでもない話をするのが大事なの」肩を竦め返しつつ。
「おいこら聞け」
秋山 華
「それはせめて三人以上揃ってからにするよ」
甫嶺 史織
「……そ」はあ、とため息をついて。エンジンをかける。
「それじゃ、ほんとにお邪魔しました。またそのうち」
秋山 絵里
「ええ。また是非」
「いってらっしゃい。気を付けてね」
秋山 華
「……」「いってきます?」というのも変な感じはするが
甫嶺 史織
「……、はい」年相応の笑みを浮かべて、手を振りアクセルを踏んで。
甫嶺 史織
ぶーん…
秋山 絵里
車が見えなくなるまで見送って。
 
秋山 華
「で。帰りのチケットもう取ったの」
甫嶺 史織
「とってない。何時になるかわかんなかったし」
秋山 華
「さっさと終わるって言ったじゃん?」
甫嶺 史織
「人間に対する観察力クソ雑魚のお前の証言とか宛てにしてねー」
「別にこんな時期だしいくらでも空いてるだろ。空いてなきゃそれを言い訳にもう一泊できるし」
甫嶺 史織
もう一泊っていったけどこれ到着初日じゃね?
秋山 華
そっすよ
秋山 華
MKZ(メンタル・クソ・ザコ)の感覚じゃわかんないか」
「言い訳っていっちゃったしな」
甫嶺 史織
まあじゃあこう……もう一日遊べるみたいな意味で
秋山 華
「……まぁなんか。海鮮食ってくか」
甫嶺 史織
「うるせーんだよなんちゃって日本人が」
「お、いいねいいね、いこうぜ。回転寿司がうまいんだろ?」
秋山 華
「回転寿司でいいの?」
甫嶺 史織
「だってそこまで予算潤沢じゃねーしさ……」
「明日じゃがバターとか食いに行こうと思ったら残しておきたいし……」
秋山 華
「エージェント様の給料なめるなよ」ナビをぴっぴしてS市に設定し
甫嶺 史織
「マジ? 奢り? 秋山姐さんカッケー!」
秋山 華
「は。調子いい」ゆけ運転手
甫嶺 史織
「あざーっす」アクセルを踏み込んで、だだっ広い道路を走る。
秋山 華
過ぎ去ってく懐かしい景色を横目に眺め。ひな壇芸人への報酬になりそうな店を探す。
甫嶺 史織
こんなものかしら?
秋山 華
いうかんじで
甫嶺 史織
乙!
秋山 華
おつかれえ
甫嶺 史織
ログはまかせろなのだー
秋山 華
さんきゅう
とりあえず出るわね
おつかれありがとおつかれ
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秋山 華が退室しました

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